ヒーローが、過去の整理をしてるから
もしかして、癌にでも、なったのかな？って
心配メールが来てしまったけど、全然大丈夫
死ねって言われても、後２０年は、現役で頑張るよ～

普通の人？は、自分達のルーツが見えるでしょう
ヒーローの場合、自分のお父さんも解らないし
親族や親戚との付き合いもあまり無いから
今まで、お父さんって考えてみた事も無かったよ
お母さんだけで、十分だったからね

でも、教え子達が、良いお父さんをしてるのを見ると
お父さんっていいな～って感じる

どんな人だったんだろう、どんな事考えてたんだろう
お父さんから見たヒーローは、どんな子供だったんだろう
って、ようやく考え始めた所なんだ

だから、心配しないでね～

さてさて、ヒーロー君は、優しいけど泣き虫で
直ぐに苛められるタイプなんだよね！

外から泣いて帰って、『おかあさん～！』って甘えると
新しい父に、自分の子供だけ可愛がって！ってキクが叱られる
ヒーローは、家に居たくても居れないんだよね

近所の子供達が集る広場の片隅に、
ちょこんと座って、遊ぶのをみる日々が続く

ビー玉で、ポーカーと言うゲームをしてると
誰かが、強く弾いた玉が、ドブの中に吸い込まれる
みんなが、遊びつかれて、帰った後に、此れを広い
翌日、みんなの仲間に加えてもらい、ゲームするけど
１個しかないので、直ぐに負ける

そしたら、また広場の片隅に座り、ドブに落ちるのを待つ
やっぱり、１個に全てが掛かっているから、強くなるのが早い
やがて、１個は、１０個になり、１００個になる
負けると、みんな１セント玉を持って、買いに行く
５個で１セント、みんなお金持ちに見えた
って事は、自分は１００個もあるから、
１０個１セントで売ろうと考え、ミカン箱の上に
１０個のビー玉をビニイル袋に入れる、
それも、１個は滅多に出ない珍しい綺麗で大きい玉

ミカン箱のビー玉は、よく売れて無くなる
仕入は、皆とゲームをして、また戻ってくる

ビー玉の次は、メンコ（沖縄では、パッチーと言う）

ある時、リヤカーを引くオジサンが通りかかった
『オジサン、何してるの？』って聞くと、
『フルガニ　コウヤーしてるよ、
　金属製の物があったら買ってあげるよ』って

近所から壊れた自転車、焦げ付いたフライパン、
解体の時出たトタン屋根、梱包を外す所に落ちてる釘
大きな磁石を紐に結わいて歩いていると、勝手にくっついてくる
これが、ひと月にすると３ドルにもなった

市場へ行けば、商品を新聞紙で包んで、輪ゴムで止める
威勢が良く、テキパキと動く、これが、かっこ良いんだ
見てると、時々、ゴムがポーンと弾けて飛んでいく
朝早く、市場に行くと、アッチコッチに輪ゴムが散乱してる
それを、手に括らせると、１０セント分になる
だけど、両手分を１０セントで売ると、みんな大喜びで買う

小学３年からは、友達と一緒に新聞配達、
朝５時に出て、１時間ぐらいで配り終える

ミカン箱の上には、ビー玉やパッチー意外にも
色んな物がのるようになっていった

ある物全てがお金に見えた、

アミ　タミ　妹達

キクは考えてた、このまま生活してても
ヒロシを大学まで行かす事は出来ない

ヒロシは考えてた、どんなに貧しくても
お母さんと一緒で、幸せだと！

そこに、知人が尋ねて来た
『お金持ちだけど、離婚して５人の子供を育ててる人が居るのよ
　再婚相手を探してるんだけど、どう？』

キクは、それを受けた、２８歳の時、ヒロシ５歳の時だ

ある日の夜、タクシーに乗せられ、糸満から那覇へ
到着したのが、列車のように長い２階建て一軒家のお家
『ワシが、お前の新しい父だ、今日から此処がお前の家だ
　そこのベットで、寝なさい』って言われても
ダブルベットを二つ合わせたくらいの、木で出来てる
周りを落ちないように３０ｃｍくらいの木の枠が囲む
その中に、大きい子小さい子が６人くらい寝てる
すこし、隙間が開いてたので、そこで身体を横たえた
すると、大きな子が寝返りを打ってゴロゴロ転がってくる
ついには、ベットから押し出され、策を乗り越えて落ちてしまった
この時、ヒロシは『此処には住めない』って思っただろう

翌日皆に、紹介された『新しい、お母さんと、新しい子供だ！』
１歳の五女アミ、３歳の四女タミ、７歳の長男マーボー
９歳の次女タエ、１１才の長女ミコ、それにお手伝いさん

果たして、二人の運命は、どうなるんだろう？

私は、部屋に漂い、ただただ見守るしか出来なくなった
悲しみと絶望の苦しみは、キクの体内に異変をもたらした
身体中の内臓が、ギュギュウと収縮し
お腹の中の赤ちゃんも、真綿で首を絞められるように苦しんだ
あまりの苦しみに、お腹を蹴って伝えた
キクは我に帰り、力を抜いた、数日が過ぎ心の整理がついたのか
この街の悲しい思い出を捨てて、母の居る名城と言う部落へ帰った

キクは実家に着いて、安心したのか、直ぐに産気づいた
産婆さんを待たずに、直ぐに生まれた
赤ちゃんは、大きな声で、『オギャ～オギャ～』と泣いた

実家には、ノブと言う腹違いの妹がいて、凄く仲が良かった
生まれて来たこの子を見て、『名前をヒロシにしない』って決まった

ヒロシには、漂う私が見えるのか、目で追ってくる
もしかして、お腹の中で、苦しんだ時、普通の赤ちゃんより早く
記憶が始まったのかもしれないね～

キクとノブは、母の京と、畑仕事に出掛ける
ヒロシは、布と毛布で包まれて、畑の隅で寝ている

それから、３年の月日が流れたが、生活は良くならず
キクは、名城から４キロほど離れた、糸満と言う街に出稼ぎに行った
その間は、京が面倒みてくれた、キクとは月に一度合えるか？ぐらいだ

３歳のある日、ヒロシは隣の子と、母を尋ねて、糸満まで家出
海伝いに行けば、街があるのを知っていた
朝早く出たに係わらず、日が落ちる頃にやっと探し当てた
その日以来、一緒に糸満で暮す事になった

此処での仕事は、ワシミルクって外国製のスキンミルクを売る仕事
キクが、一日中売り歩いても、４～５個しか売れない
所がヒロシを連れて売ると、１ダース全部売れるのだ
洗濯してるオバサン達を見ると、走って行って、一緒にちょこんと座り
『坊や、どうしたの？』って聞かれると、
『ミルク売ってるの』って言う
『わたしにも』『わたしにも』って買ってくれる
不思議な商才を持った子供に育った

この仕事でお金を貯め、２年後にキクは、お店を開いた
夏は、かき氷屋さん、冬は布団屋さん
これは、暑い時は冷たいもの、寒い時は、温かいものを扱う事により
皆が必要とする事だと、知恵を働かしての事だったが
客は、寒くなる前に、布団を打ちなおしたり、買いに来る下見をする
所が、カキ氷屋さんになってると、潰れたと思い、冬に来ない

キクは焦って居た、この子を大学にやる為だったら、何でもやる
アメリカで、ロケットにチンパンジーを乗せて、飛び立つんだったら
私が、変わりに乗るから、この子を大学まで行けるように契約したい
ってまで、思ってた・・・こんな時、またまた運命の変わり目が！